この記事は、こんな方向けに書いています。
僕自身は、営業マンとしての経験は4年半です。
幸いなことに、周りにめちゃくちゃ優秀な営業マンがいる環境だったため、色々なノウハウを吸収していって月収100万円を超えることもありました。
ですが、僕は今でもとても口下手です。
以前は「コミュ障」と言われてもおかしくないほど、人と話すのが下手でした。
そんな僕でも稼げるようにはなれたので、口下手な人でも営業職でやっていける、という根拠をお話していきます。
話し過ぎより口下手の方がいい!
なんだか世間の認識では、
営業で成果を出す人 = トークの上手い人?
だと思われているようです。
しかし、はっきり言いますがこれは間違いです。
正しくは、
営業で成果を出す人 = 相手の話を聞ける人
です。
なので、話し上手でなくても、相手(顧客)の話をちゃんと聞ける、聞き上手の人が、成果を上げていきます。
そもそも、営業の成果を上げるには?
まずは基本から考えていきましょう。
営業の成果を上げる = 売り上げを作る(サービスを売る)
というのはわかりますね。
では、どうやったら人に物やサービスを買ってもらえるのでしょうか。
それは、顧客の悩みを解消することです。
たとえば、あなたがダイエット器具を売っている営業マンだとします。
それなら、”太っている体をなんとかしたい” ”痩せたい” という悩みを抱えている人に売りますよね。
育毛剤を売るなら、「髪の毛がハゲてしまって悩んでいる」という人に売るはずです。
当たり前のことですよね。
ただ、人々の悩みというのは、このような分かりやすい悩みばかりではないんです。
表に出していない”悩み”を聞き出す!
例えば先ほどの例で言うと、
「太っている体をなんとかしたい」
という需要がありましたね。
そこで、成果を上げられない営業マンの典型的な話し方はこんな感じです。↓
「このダイエット器具なら、〇週間続けるだけで〇キロ痩せられます!
あの芸能人の〇〇さんも、これで〇キロ痩せたんです!他のダイエット器具と違うところは、~~~で、~~~~~。」
と、聞かれてもいないことをマシンガントークのようにまくし立てることです。
みなさんも、アパレルショップなどに入ったときに経験がありませんか?
店員がすぐ寄ってきて、聞いてもいない情報をベラベラ話し始めると、うんざりしますよね…。
ここで、”聞き上手”の人はとても有利です。
例えばこんな感じです。
「何か、”痩せたい”と思ったきっかけはあったんですか?
あー、そうなんですか。彼氏さんが街中でスタイルの良い他の女性を目で追っているんですね…。悲しくなりますよね。
そうですか。それでケンカしてしまって、自分自身のことも嫌になってしまったんですね。
それから自分磨きに力を入れられている、と。とても真面目な方なんですね。
ちなみに、痩せるならどんな体型がいいですか?彼氏さんの好みの感じをご存じでしたら、そうしたいですよね。
なるほど、ウエストのくびれはしっかり作りたいんですね。お尻の大きさはそこまで気にしない、と。笑
それならうちの商品が役に立てそうですね。
ちなみに、いつごろまでに理想の体型にしたいですか?
今年の夏ですか。あー、彼氏さんがプール行きたがってるんですね。たしかに水着着るなら痩せてたいですよね~。わかります。
~略~
今までのお話を聞いた感じだと、この商品で、1日〇〇分くらい使っていただければ効果が出るはずです。
あとは、別の会社の商品なので、大きい声で言えないんですけど、これもおすすめですよ。笑
なにかお悩みがあればまた来てください!ご相談に乗りますので。」
と、適当に作った会話ですが、先ほどの売れない営業マンの話し方とは全然違いますよね。
何が違ったと思いますか?
決定的な差は、
相手の悩みを深堀りして、共感していることです。
これは、トークが上手いだけの人にはできません。
逆に、口下手な人でもできるスキルとも言えます。
人は、悩みを聞いてほしがっている
営業以外でも、コミュニケーション全般にいえることですが、
人は、「自分の悩みを聞いてほしい」と思っています。
そして、物やサービスを買う時というのは、”悩みや不安を解消したい”という動機がほとんどです。
例えば、あなたがスマートフォンのカバーを買おうとするのは、
「スマートフォンを傷つけたくない」という不安や悩みを解消するためですね。
他の例を出すと、
「ケーブルの無い、ワイヤレスイヤホンを買おう」という場合なら、
「ケーブルが絡まってうっとうしい」「ワイヤレスでスポーツを楽しみたい」
という悩みを解消するためです。
その悩みを聞いてくれて、気持ちを汲み取ってくれた聞き上手な人が、「それなら、あなたにはこれがおすすめです」と商品を勧めてくれたらどうでしょうか?
嬉しいですよね。
聞いてもいない商品説明をベラベラしゃべる販売員とは、大違いです。笑
同じ商品を売っていても、これだけ差が出ます。
あなたは口下手でも構いません。
「どうしてこの人は、これが欲しいと思っているんだろう?」
「何を解決したいんだろう?」
「普段はどんな生活をしていて、この商品はどんな場面で役に立てるだろう?」
こういう風に相手のことを考えることが、営業マンや販売員として重要です。
折り畳み自転車を買いに来た人に、ロードバイクを売った販売員
これは、僕が昔アルバイトをしていたスポーツ自転車の専門店で語り継がれていた話です。
「あいつ(Aさん)、折り畳み自転車買いに来たお客さんに、ロードバイク売ってたんだぜ!笑」
という話です。
ロードバイクというのはざっくり言うと、漫画”弱虫ペダル”などでも有名ですが、ピチピチのレースジャージを着て、ヘルメットをして、前傾姿勢で走る、競技用の自転車のことです。
自転車に詳しい人から見れば、折り畳み自転車とロードバイクは、ぜんっぜん違う乗り物です。
そのロードバイクを、「折り畳み自転車が欲しい」と言っている人に納得して買ってもらったというのだから驚きです。
ただ、詳しく聞いてみると、「なるほどなー!」というエピソードでした。
「折り畳み自転車を見に来ました」というお客様が来たら、
「おすすめの折り畳み自転車はこれです。」とか、
「ご予算が〇万円なら、このモデル。〇万円ならこのモデルがいいです。」
と話してしまう販売員がほとんどだと思います。
しかし、Aさんは違いました。
まず、「なんでこの人は折り畳み自転車が欲しいんだ?」と考えたそうです。
そして、お客様に聞きました。
そうやってお客様の動機を深堀りして話していったら、
”折り畳み自転車を車に積んで、サイクリングコースまで行ってサイクリングをしたい”
という動機が掴めたそうです。
これがわかれば、折り畳み自転車を勧める理由はありません。
自転車に詳しい人にとっては当たり前なのですが、ロードバイクをコンパクトにして車に積むのは、とても簡単です。
折り畳み自転車を畳む作業と、そこまで変わりません。ほとんどの場合、工具も要りません。
しかも、折り畳み自転車よりも軽く、走り心地は比べ物にならないほど軽快です。
おそらくお客さんは、そういう自転車の違いや性質を分かっていなかったから「折り畳み自転車を買おう」と思っていたんですね。
Aさんがしっかり理由を聞いて、深堀りして、「それならロードバイクの方が合ってますよ!」となったから、お客さんも「なるほど!」と納得して買ってくれたんだと思います。
とても良い、モノを売る例だなーと感心しました。
お客様の一言目の「折り畳み自転車を買いたいんですけど」の言葉を、真に受けてはいけないということですね。
「もっとこの人の悩みを知りたい。」
「真剣に解決してあげたい。」
という気持ちを持っておけば、聞けるようになると思います。
口下手を武器にする?!
僕の営業マン時代に、上司からこんな話を聞きました。
Bさんは、毎日ピンポン営業で住宅を回っている営業マンです。
彼は”どもり(吃音。なめらかに話せないこと。)”のある人でした。
なので、話を聞いている方はよく聞き取れず、イライラしてしまうようで、Bさんはいつも営業成績が最下位でした。
そんなBさんが、ある工夫をして、営業成績1位を取ることができました。
それは、”どもり”があることを打ち明けてしまう という工夫でした。
どういうことかと言うと、会話の最初で
「僕は”どもり”がひどいので、聞き取りにくかったらすみません。
でも、あなたのために真剣にお話しするので、お時間をいただけませんか?」
という風に話したそうです。
それから話を聞いてくれる人が増え、Bさんは営業成績1位を取ることができました。
「え?それだけ?」という感想もあるかもしれませんね。
ただ、”自分の弱点を打ち明ける”というのは、相手との心理的な距離を縮めるのにとても有効な話し方です。
想像してみてください。
あなたの友達に、
・自分の弱みを一切見せないCさん
・自分の悩みやコンプレックスを相談してくるDさん
この2人が居たとします。
Dさんの方が、なんとなく親しみやすいと思いませんか?
ちょっと可愛さを感じてしまうというか、距離が近い感覚がありますよね。
自分の弱点を打ち明けてしまうのは、場合によっては有効な話し方なんです。
(「僕はすぐキレてしまうんです…。」とか、危ない内容は別として。笑)
なので、あなたが自分自身のことを口下手だと思っているなら、
「すみません、僕、話すのがあまり上手くないので変な間が空いてしまったり、言葉に詰まることがあるんですが、内容は本当に真剣に考えてお話しするので、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。」
と、誠意を持って伝えてみるといいと思います。
相手からしてみれば、”不器用なところもあるけど真剣に頑張っている人”というのは好印象な場合が多いです。
「なんか計算高いというか、ずる賢い気がするな…。」と思う人もいるかもしれませんが、そういう気持ちは持たない方がいいです。
相手を騙そうとか、都合よく操作しようと思っているなら論外ですが、
本当に相手のために良い商品を提供しようとするなら、計算高くても、あざとくても、悪いことではありません。
「絶対この人の生活の役に立とう」という気迫があれば、多少口下手だろうと問題ありません。
最後に
僕は今でも、自分のことを”トークが上手”だとは思いません。
それでも、ある時から契約が取れるようになっていきました。
それは、相手のことを想う気持ちが大きくなったことと、素直な気持ちの営業をするようになったからです。
あなたがもし口下手でも、自信を失わないでください。
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